ミズハ
ぼくは素晴らしい唐紙に超越したチカラを宿したいといつも願っています。それは時代も国も民族をも超えてゆくチカラと言えます。
カミさまと唐紙の通り道となれたらいいのに、と思います。
そのためには、自分を可能な限り透明にすることです。 ぼくの手ではなく、自然に生まれるもののほうが、尊く思えます。いつも水のカミさまと共に唐紙に向き合うのです。
が、しかし一方では、
祈りも迷いも強さも弱さも願いとともに作品に宿る。
自然でありたい、自然そのものを表したいと願うぼくは、できるだけ我を消そう、消そう、透明になろうと思うのだけど、その気持ちが、強ければ強いほど逆に無から遠ざけてしまう気もしていた。
そもそも無になろうと思うことが、無ではない。
だけど、今はその微細な精神のゆらぎそのものが作品に現れるのもまた、自然なことだと思えるようになった。
なぜなら、ぼくの存在もまた自然の一つだからである。
前人未到の美術展の会期を終えた今のぼくはそう思えます。
「いのち」シリーズ、「星に願いを」、「季風の道」につづく新作「ミズハ」シリーズ。
しふく刷りによるトトブルーと渦の印象的な世界は、唐紙師トトアキヒコ作品の新しい目印となることでしょう。
(トトアキヒコ)
唐紙の美 トトアキヒコの世界
雲母の旋律 – 400年のひととき –
美術展出展作品
会場:相田みつを美術館
会期:2014年9月9日(火)~10月5日(日)