ミズハ(sacred cross)
アトリエに訪れたのは敬虔なクリスチャンであるアメリカ人夫妻。ぼくが描いたクルスの作品に反応を示された夫妻と対話を重ねながら、クルスに祈りを込めた青い作品を手がけることに。ぼくの作品「ミズハ」は、渦巻文様を幾重にも重ねゆくのだが、その様を見た人が何をどう感じるかは問わない。心象風景であり、水であったり、空であったり、宇宙でもよい。この世とあの世などの別世界など、人により自由に見たもの、感じたものを解釈すれば良いと考えてはいる。ご主人は、ライフスタイルでもある海の世界、とりわけ深海の世界をイメージしたことから、この作品のオーダーへとつながった。新たに手がける夫妻の茶室の床の間に飾る絵として襖の唐紙と共に依頼を受けた。不慣れな英語でのやり取りを通じてではあったが、美は国境を越える、と思い取り組んだ。
2022年11月
唐紙師トトアキヒコ