Mizuha (Sacred Blue Earth) / NY,USA

Mizuha (Sacred Blue Earth) / NY,USA

「ミズハ」とは、水のカミさまと共に在ることを願い生まれた作品。
波紋のエネルギーをスパークさせる中、連続する同心円を気の流れを帯びた光の波動として表現する唐紙は八百万の神々と共に手がけるというトトアキヒコの思想に基づいたものです。千年に渡る伝統工芸として伝承されてきた唐紙の世界に新しい試みをもたらし、工芸と芸術の間(あわい)を超えて、まさに絵画的なアートの地平に到達した現代アート作品といえます。
この唐紙には、やがて龍になる神さまの使いである霊気を宿した龍亀(ロングイ)が人々の祈りを連れて、天空へと舞い上がり龍となって願いを叶え、世界平和を見守るというメッセージが込められています。西洋の技法である点描と東洋のたらし込みを融合させ、何千回、何万回と自らの指で染めていく独自の技法「しふく刷り」から生まれる深淵な青い唐紙作品は、八百万の神様や精霊と共に手がけた詩情が宿るスピリチュアルな青、「トトブルー」と呼ばれています。

不連続の連続…
一見バラバラに感じる不揃いさも繰り返される動きの連続により、やがて大局的にはリズムを生みゆく美しさがそこには宿ります。
目に見えぬ何か、音なき音、風、かおり…不揃いの美、陰影の美、余白の美…陰影のゆらぎ、面影、気配…これらは日本の美意識そのものであり、気配宿る唐紙を見ることで、見る人の心の中で完成する未完の美こそが、ぼくが求める最上の唐紙の美です。

カミなきこの世にカミを呼び覚ます。
唐紙を通じて、東と西の世界を繋いで世界の平和を祈ること。
この作品は、祈るように生まれ、この世に顕れたものです。
偶然と必然、意図せぬことと意図がせめぎ合い、絡み合い螺旋を描き混ざり合い、重なりあうなかで混沌の世界から光と影を見いだすことに命を削り、そこから生まれた陰影のゆらぎに、あたかも縋るように祈りをこめてゆくのが、モノづくりのプロセスとしてあります。
いつも、その最後の瞬間は祈るしかないのです。

作品中央の青い珠は、穏やかで美しい世界が訪れることを祈り描いたものです。
平和とはなんでしょう?
今、私たちの世界は様々な問題を抱えていますが、日本には「和える」という考え方があります。この言葉は、「混ざる」や「交わる」と似ていますが、多様性が混ざり調和されることで新たな価値を生む訳ですが、時にそもそもの形を失ってしまう「混ざる」こととは少し意味が異なるかもしれません。それぞれの形や本質が生かされたままで他者が存在し合うのが、「和える」という概念です。
本来、和とは、和えることで和らぎ、和むことで平和に導くチカラだと思います。
終に和らぎ且つ平らかなる美しき静な世界を祈りました。

2023年12月
唐紙師トトアキヒコ

Mizuha (Sacred Blue Earth) / NY,USA │ NY,USA